働きながら保育士資格を取得する方法｜社会人におすすめのルート
「保育士になりたいけど、今の仕事を辞めるのは不安…」そう考えている社会人の方も多いのではないでしょうか。実は、働きながらでも保育士資格を取得する方法はあります。この章では、社会人におすすめの保育士資格取得ルートを解説します。
保育士試験に合格する
働きながら保育士資格を取得する最も一般的な方法は、保育士試験に合格することです。保育士試験は、年に2回（前期・後期）実施され、筆記試験と実技試験があります。受験資格は、最終学歴によって異なりますが、大学、短大、専門学校などを卒業している場合は、受験資格があります。高校卒業の場合でも、一定の実務経験があれば受験資格が得られます。詳細は、全国保育士養成協議会のウェブサイトで確認してください。
保育士試験は、全9科目の筆記試験と、3分野から2分野を選択する実技試験で構成されています。
筆記試験の科目は、
- 保育原理
- 教育原理
- 社会的養護
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 保育の心理学
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
実技試験は、
- 音楽表現に関する技術
- 造形表現に関する技術
- 言語表現に関する技術
の3分野から2分野を選択します。
筆記試験はマークシート形式、実技試験は実技を行います。
保育士試験の難易度と対策
保育士試験の合格率は、例年20%前後と、決して簡単な試験ではありません。
しかし、しっかりと対策をすれば、働きながらでも十分に合格可能です。
筆記試験は、過去問を中心に繰り返し学習し、知識を定着させることが重要です。
実技試験は、自分に合った分野を選択し、早めに練習を始めましょう。
独学が不安な場合は、通信講座や予備校などを利用するのも良いでしょう。
保育士試験は、一度に全ての科目に合格する必要はなく、科目別の合格が認められています。合格した科目は3年間有効なので、働きながら自分のペースで学習を進めることができます。計画的に学習を進め、保育士試験合格を目指しましょう。
指定保育士養成施設を卒業する
保育士資格を取得するもう一つの方法は、厚生労働大臣が指定する保育士養成施設（大学、短大、専門学校など）を卒業することです。指定保育士養成施設では、保育士に必要な知識や技術を学ぶことができます。養成施設を卒業すると、保育士試験が免除され、保育士資格を取得できます。
指定保育士養成施設には、昼間課程だけでなく、夜間課程や通信制課程を設けているところもあります。夜間課程や通信制課程であれば、働きながらでも通学しやすく、自分のペースで学習を進めることができます。ただし、夜間課程や通信制課程は、昼間課程に比べて修業年限が長くなる場合があります。
夜間課程や通信制課程の活用
夜間課程は、日中仕事をしている社会人でも通学しやすいように、夜間に授業が行われます。
通信制課程は、自宅で学習し、レポート提出やスクーリング（面接授業）などを通して単位を取得します。
どちらも、自分のペースで学習できるのがメリットですが、自己管理能力が求められます。
指定保育士養成施設を選ぶ際には、
- 通学しやすい場所にあるか
- 学費はどのくらいか
- どのようなカリキュラムが組まれているか
- 実習先はどこか
などを確認しましょう。
保育士養成施設を卒業する方法は、保育士試験に比べて費用と時間がかかりますが、確実に保育士資格を取得できるというメリットがあります。また、保育士養成施設では、同じ目標を持つ仲間と出会えるというメリットもあります。
【実務経験者向け】幼稚園教諭免許からの移行
幼稚園教諭免許を持っている人は、一定の条件を満たせば、保育士資格を取得するための試験の一部が免除されたり、「幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例」を利用して保育士資格を取得したりすることができます。この特例制度を利用すると、指定された科目を履修し、単位を取得することで、保育士試験が免除されます。詳細については、厚生労働省や各都道府県のウェブサイトで確認してください。
この特例制度を利用することで、比較的短い期間で保育士資格を取得できる場合があります。
幼稚園教諭免許を持っている方は、ぜひこの制度の利用を検討してみてください。
働きながら保育士資格を取得する方法は、いくつかあります。自分に合った方法を選び、計画的に学習を進めることが、保育士資格取得への近道となります。
働きながら保育士資格を取得する際の注意点
働きながら保育士資格を取得することは、決して簡単なことではありません。時間的、精神的な負担も大きくなります。しかし、計画的に学習を進め、周りの協力を得ることで、働きながらでも保育士資格を取得することは十分に可能です。この章では、働きながら保育士資格を取得する際の注意点について解説します。
勉強時間の確保
働きながら保育士資格を取得するためには、まず勉強時間の確保が重要になります。仕事と勉強を両立させるためには、効率的に時間を使う必要があります。例えば、
- 通勤時間
- 昼休み
- 就寝前
などの隙間時間を活用して、学習を進めましょう。
また、休日には、まとまった学習時間を確保することも大切です。
具体的な時間管理のコツとしては、
- 1週間のスケジュールを立て、学習時間を確保する
- 1日のうちで、最も集中できる時間帯に学習する
- タイマーを使って、学習時間を区切る(ポモドーロテクニックなど)
- 「～しながら学習」を習慣化する(通勤中に講義を聞く、家事をしながらリスニングなど)
などがあります。
自分に合った方法で、無理なく学習時間を確保しましょう。また、家族や友人に協力をお願いし、学習時間を確保することも大切です。
費用面の準備
保育士資格を取得するためには、ある程度の費用がかかります。保育士試験を受験する場合は、受験料や教材費が必要です。指定保育士養成施設に通学する場合は、入学金や授業料、教材費などが必要です。また、通信講座を受講する場合も、受講料や教材費が必要です。これらの費用を事前に把握し、計画的に準備しておくことが大切です。
保育士試験の受験料は、12,950円（2023年度）です。
教材費は、独学の場合、数千円から数万円程度、通信講座や予備校を利用する場合は、数万円から数十万円程度かかります。
指定保育士養成施設に通学する場合は、学校によって異なりますが、年間数十万円から数百万円程度の学費が必要です。
費用を抑えるためには、
- 独学で保育士試験に合格する
- 通信講座を利用する
- 教育訓練給付金制度を利用する
- 奨学金制度を利用する
などの方法があります。
自分に合った方法で、費用面の準備を進めましょう。
職場への理解
働きながら保育士資格を取得する場合、職場への理解を得ることも重要です。保育士試験の勉強や、指定保育士養成施設への通学のために、残業を減らしたり、休みを取ったりする必要が出てくる場合もあります。また、保育士資格取得後、保育士として転職を考えている場合は、その旨も早めに伝えておく必要があります。職場に保育士資格取得を目指していることを伝えることで、仕事と勉強の両立がしやすくなる場合があります。例えば、職場の同僚や上司が、勉強時間を確保できるように配慮してくれたり、試験前に励ましの言葉をかけてくれたりすることもあります。
職場に伝える際の注意点としては、
- 仕事に支障が出ない範囲で学習を進めることを伝える
- 協力してもらえることへの感謝の気持ちを伝える
- 保育士資格取得後のキャリアプランを具体的に伝える
などがあります。
職場によっては、保育士資格取得を支援する制度を設けている場合もあります。例えば、
- 資格取得のための休暇制度
- 資格取得費用の補助制度
- 資格取得後の昇給制度
などがありますので、確認してみましょう。
働きながら保育士資格を取得することは、決して簡単なことではありませんが、計画的に学習を進め、周りの協力を得ることで、必ず実現できます。諦めずに、夢に向かって頑張りましょう。
保育士資格取得後の転職｜成功させるためのポイント
働きながら保育士資格を取得した後は、いよいよ保育士としての転職活動です。しかし、保育士の求人情報はたくさんあり、どこに応募すれば良いのか迷ってしまう方もいるでしょう。また、未経験での転職に不安を感じる方もいるかもしれません。この章では、保育士資格取得後の転職を成功させるためのポイントを解説します。
保育士の求人状況
保育士の求人状況は、地域や施設の種類によって異なりますが、全体的には売り手市場（求職者有利）が続いています。厚生労働省の発表によると、保育士の有効求人倍率は、近年高い水準で推移しています。これは、保育士不足が深刻化していることを示しています。特に、都市部や待機児童が多い地域では、保育士の需要が高く、好条件の求人が見つかりやすい傾向があります。
ただし、求人が多いからといって、必ずしも希望通りの職場に転職できるとは限りません。
保育士の転職市場は、経験者優遇の傾向があります。
未経験者の場合は、経験者に比べて不利になることもあります。
しかし、保育士不足が深刻な状況であるため、未経験者歓迎の求人も増えています。
諦めずに、根気強く転職活動を続けることが大切です。
転職先の選び方
保育士の転職先を選ぶ際には、給料だけでなく、勤務時間や休日、福利厚生、職場の雰囲気など、さまざまな要素を考慮する必要があります。保育園には、
- 認可保育園
- 認可外保育園（企業内保育所、院内保育所など）
- 認定こども園
- 小規模保育事業所
など、さまざまな種類があります。
認可保育園は、国が定めた基準を満たしている保育園で、公立と私立があります。公立保育園の保育士は地方公務員となるため、給料や待遇が安定しているというメリットがあります。私立保育園は、園によって給料や待遇が異なりますが、独自の保育方針や特色を持っていることが多いです。認可外保育園は、国が定めた基準を満たしていない保育園ですが、企業内保育所や院内保育所など、特定のニーズに対応した保育サービスを提供している場合があります。認定こども園は、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ施設で、近年増加傾向にあります。小規模保育事業所は、0歳から2歳までの子どもを対象とした、定員が6人から19人までの少人数制の保育施設です。
求人票の確認ポイント
求人票を見る際は、以下の点を確認しましょう。
- 給与（基本給、手当、賞与）
- 勤務時間（残業の有無、シフト制かどうか）
- 休日休暇（年間休日数、有給休暇の取得状況）
- 福利厚生（社会保険、退職金制度、研修制度など）
- 保育方針
- 職場の雰囲気（写真や動画などが掲載されている場合もある）
これらの情報を参考に、自分に合った職場を探しましょう。
自分に合った職場を見つけるためには、
- 自分の希望条件を明確にする
- 複数の求人情報を比較検討する
- 職場見学に行く
ことが大切です。
また、保育士専門の転職エージェントを利用するのもおすすめです。転職エージェントは、保育士の転職市場に詳しく、希望に合った求人を紹介してくれます。また、履歴書の書き方や面接対策などのサポートも受けられます。
履歴書・職務経歴書の書き方、面接対策
保育士の転職における、履歴書・職務経歴書の書き方、面接対策のポイントは、一般的な転職活動と大きく異なる点はありませんが、保育士ならではのアピールポイントを盛り込むことが大切です。
履歴書には、学歴や職歴、資格などを正確に記入しましょう。職務経歴書には、これまでの職務経験や実績、スキルなどを具体的に記入します。保育士資格を取得した経緯や、保育士として働きたい理由なども、しっかりとアピールしましょう。
面接では、
- 保育士としての熱意や意欲
- 子どもへの愛情
- コミュニケーション能力
- 協調性
などをアピールすることが大切です。
面接でよく聞かれる質問としては、
- 「保育士を目指した理由」
- 「どのような保育士になりたいか」
- 「あなたの保育観」
- 「これまでの経験で学んだこと」
- 「保護者対応で心がけていること」
などがあります。
これらの質問に対する回答を事前に準備しておきましょう。
未経験でもアピールできるポイント
保育士未経験の場合でも、これまでの社会人経験で培ってきたスキルや経験をアピールすることができます。
例えば、
- コミュニケーション能力
- 問題解決能力
- チームワーク
- リーダーシップ
- マネジメント能力
などは、保育士の仕事にも活かせるスキルです。
また、ボランティア経験や子育て経験なども、アピールポイントになります。
自分の強みを分析し、保育士の仕事にどのように活かせるかを具体的に説明できるように準備しておきましょう。
保育士への転職は、人生における大きな転機です。しっかりと準備をして、自信を持って転職活動に臨みましょう。
保育士の仕事の魅力｜やりがい、メリット
保育士の仕事は、大変なことも多いですが、それ以上に魅力あふれる仕事です。子どもたちの笑顔に囲まれ、成長を間近で見守ることができる、かけがえのない仕事です。この章では、保育士の仕事のやりがいやメリットについて解説します。
子どもの成長を間近で見守れる
保育士の仕事の最大の魅力は、子どもの成長を間近で見守れることです。昨日までできなかったことができるようになったり、言葉を覚えたり、友達との関わり方を学んだり…日々成長していく子どもたちの姿を見ることは、保育士にとって何よりの喜びです。子どもの成長は、一人ひとり異なります。その子どもの成長に合わせた保育を考え、実践していくことは、保育士としてのやりがいにつながります。また、子どもたちの笑顔や、純粋な心に触れることで、保育士自身も癒され、成長することができます。
例えば、
- 初めて「先生」と呼んでくれた時
- 苦手な食べ物を克服できた時
- 友達と仲良く遊べるようになった時
- 運動会やお遊戯会で練習の成果を発揮できた時
など、子どもの成長を感じられる場面はたくさんあります。
子どもの成長を間近で見守り、サポートできることは、保育士の仕事の大きな魅力であり、やりがいです。
保護者から感謝される
保育士は、子どもだけでなく、保護者からも感謝される仕事です。
共働き家庭が増えている現代において、保育士は保護者にとって、子育てのパートナーとも言える存在です。
保護者は、仕事や家事に追われる中で、子どもの成長を十分に見守ることができないこともあります。
そのような中で、保育士は、子どもの成長を保護者に伝え、子育ての悩みに寄り添い、共に子育てを支えていきます。
保護者から「いつもありがとうございます」「先生のおかげで、子どもが成長しました」などと感謝の言葉をかけられると、保育士としてのやりがいを感じ、仕事へのモチベーションも高まります。
保護者との信頼関係を築くことは、保育士にとって非常に重要です。
日々のコミュニケーションを大切にし、保護者の気持ちに寄り添うことで、より良い保育を提供することができます。
社会貢献度が高い
保育士は、社会貢献度の高い仕事です。
保育士は、未来を担う子どもたちの成長をサポートするという、重要な役割を担っています。
子どもたちが健やかに成長し、社会に貢献できる人材となるためには、幼児期の教育が非常に重要です。
保育士は、子どもの発達段階に応じた適切な保育を提供することで、子どもたちの成長を促し、社会全体の発展に貢献しています。
保育士の仕事は、決して楽な仕事ではありません。
しかし、子どもの成長を間近で見守り、保護者から感謝され、社会に貢献できるという、大きなやりがいがあります。
長く働き続けられる
保育士は、結婚や出産、育児などのライフイベントを経ても、長く働き続けられる仕事です。
保育士資格は国家資格であり、一度取得すれば生涯有効です。
また、保育士の需要は高く、全国各地に保育園があるため、ライフステージに合わせて働く場所を選ぶことができます。
例えば、
- 結婚や出産を機に、パートタイムや短時間勤務に切り替える
- 子育てが一段落したら、正社員として復帰する
- 自宅の近くの保育園に転職する
など、さまざまな働き方が可能です。
近年では、保育士の働き方改革も進められており、残業時間の削減や、有給休暇の取得促進など、働きやすい環境づくりが進められています。
保育士は、仕事とプライベートを両立させながら、長く働き続けられる魅力的な仕事です。
保育士の仕事は、大変なこともありますが、それ以上に多くの魅力があります。子どもが好き、人の役に立ちたい、社会に貢献したい、長く働き続けたい、という方にとって、保育士は非常にやりがいのある仕事です。保育士の仕事に興味がある方は、ぜひ保育士資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
働きながら保育士を目指す方へのメッセージ
働きながら保育士を目指すことは、決して簡単なことではありません。仕事と勉強の両立は、時間的にも精神的にも負担が大きくなります。しかし、強い意志と計画性を持って取り組めば、必ず夢を叶えることができます。この章では、働きながら保育士を目指す方へ、応援メッセージを送ります。
保育士は魅力的な仕事
保育士は、子どもの成長を間近で見守り、サポートできる、非常にやりがいのある仕事です。
子どもたちの笑顔や、成長していく姿を見ることは、何物にも代えがたい喜びです。
また、保育士は、保護者から感謝されることも多く、社会貢献度も高い仕事です。
保育士の仕事は、決して楽な仕事ではありません。
体力勝負の場面も多く、子どもの安全に常に気を配らなければなりません。
また、保護者対応や事務作業など、保育以外の仕事もたくさんあります。
しかし、それ以上に、子どもたちからたくさんのエネルギーをもらい、感動や喜びを分かち合える、素晴らしい仕事です。
保育士不足が深刻化している現代において、保育士は社会から強く求められている存在です。
保育士の仕事は、AI(人工知能)には代替できない、人間だからこそできる仕事です。
諦めずに夢を叶えよう
働きながら保育士を目指すことは、大変な道のりかもしれません。
しかし、諦めずに努力を続ければ、必ず夢を叶えることができます。
保育士になりたいという強い気持ちを持ち続け、計画的に学習を進めていきましょう。
学習時間の確保が難しい場合は、
- 通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を活用する
- 週末にまとめて学習時間を確保する
- 通信講座やオンライン学習などを利用する
などの工夫をしてみましょう。
また、一人で抱え込まず、周りの人に相談することも大切です。
家族や友人、職場の同僚、保育士試験の予備校の講師など、頼れる人に相談し、サポートしてもらいましょう。
そして、何よりも大切なのは、保育士になりたいという強い気持ちを持ち続けることです。
「子どもが好き」「子どもの成長をサポートしたい」という熱意があれば、どんな困難も乗り越えられるはずです。
保育士は、子どもたちの未来を育む、素晴らしい仕事です。働きながら保育士を目指す皆さんを、心から応援しています。諦めずに、夢に向かって頑張ってください！
